現在公開中の映画、観てきました。
宮沢賢治原作ですね。私はこの作品を漫画「プラネテス」で知ったのですが。
あ、原作もちゃんと読みました。
映画化について全然知らなかったのに、たまたま数ヶ月前に別件で宮沢賢治の作品群を読む機会に恵まれましてね。
なので、割と内容も覚えていたので、原作と比較しながら観ることができました。
以下、ネタバレなので一応白黒反転してます。
うぅーん。
同じスタッフによる「銀河鉄道の夜」を観ていないので何とも言えないのですが、夢と現実が交錯するような描写を取り入れるには「グスコーブドリの伝記」は向いてないような気がしました。
原作は原作、映画は映画と割り切って観ればそれなりに面白い作品なんだろうけど、それならそれで、特に映画のキーマンとなる、ネリをさらった男についての存在意義をもっと明確にしてほしかったような……。
ブドリの人生の転機になるタイミングで顕れるのはいいんだけど、だとしても最後のシーンはまるでブドリが魔法を使って火山を爆発させたかのような描き方をしていたし、クライマックスのバタつき感は否めなかった。最後は科学の力で解決してほしかったなぁ。
まぁ、描写されてる内容外のことは補完しながら観るべきなんだけどね、ああいう作品は。
それにしても、てぐす工場の場面が夢オチにされてたのはちょっと残念……。
その後のオリザ畑の流れがちゃんと描かれてたからいいけど。
あと、結局ネリは生死不明にされてたなぁ、そこも寂しい。
でも、背景やメカニックの描写は素晴らしかった!
特に、足こぎ耕運機と、イーハトーブの都市交通にぐっときた。懸垂式モノレール、イイネ!
あと、ブドリの夢に浅草凌雲閣が出てきた時には、
「おぉぉぉぉ、十二階ぃぃぃ~!!」
と(心の中で)雄叫んでしまったw 失われたからこそ恋しい、浅草十二階……。
そういうディティールにぐっときたからこそ、大筋に不満が出てしまったのは残念だったなぁ。
原作が伝記調だから、もうちょっと淡々と話を進めてってもいいのでないかと思いました。
もしくは、昨年の大震災があったからこそ、ブドリの自己犠牲精神をより前面に出す、とかね。
(念の為追記すると、だからって全ての自己犠牲が尊ばれるべきだとは思いませんが。無為に死にゆくのはいくない、命あっての人生だ)
あくまでも私のは原作重視派寄りの意見なので反論はあるでしょうが、そしてもう一回観ればまた印象が違うのでしょうが、現時点での感想は以上の通り。
映像の美しさや猫キャラクターの可愛さを求めるのはアリだと思います。
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